ワクチンの接種は適期に
「※」がついているワクチンは、事業補助対象のワクチンです
牛
イバラキ病【生】
病気の概要
イバラキウイルスによって起こる口内炎、嚥下障害を主徴とする疾病です。家畜伝染病予防法で届出伝染病として定められている病気のひとつです。平成9年の流行では、流産を呈する症例も見られました。発生は牛流行熱と酷似し、関東以西の地域で8~11月下旬にかけて流行します。

▲嚥下障害による飲水の逆流

▲舌麻痺による舌の先端部の持続的突出
ワクチネーションプログラム
●1ml注射。
注射は流行期(8~11月)の1~3ヶ月前までに行う。

アカバネ病【生】 ※
病気の概要
アカバネウイルスによって起こる流早死産、関節湾曲及び大脳欠損子牛の分娩等の異常産を主徴とする病気です。昭和47年の大流行以来、北海道及び青森県を除く全国各地で3~4年の周期で流行し、その間も局地的にも小規模の流行がありましたが、昭和60~61年には北海道、青森でも流行があり、大きな損害を与えました。
アカバネウイルスは、夏季~晩秋にかけての時期に吸血昆虫により伝播されます。このため、4~6月にかけてワクチン注射を行うことが大切です。

▲四肢の異常と脊柱の湾曲を示す流産胎子

▲眼球振盪、前肢の回転運動などの神経症状及び起立不能を示す子牛
ワクチネーションプログラム
※ 蚊の発生する6月までに予防接種を完了する。
※ 肉用繁殖雌牛を重点に実施する。
●1ml注射。繁殖牛のみ、妊娠牛も注射する。

アカバネ病・チュウザン病・アイノウイルス感染症(異常産3種)混合【不】 ※
病気の概要
●チュウザン病
カンバウイルス(チュウザンウイルス)が妊娠牛に感染することによって、異常産を起こす病気です。生まれた子牛は起立不能、後弓反張、てんかん様発作、眼球振盪等の神経症状や盲目、自力吸乳力の欠如が見られます。剖検で大脳及び小脳の欠損や形成不全を呈する例が多く見られます。
本病は、1月を中心とした寒い時期に発生しますが、原因となるウイルスの感染は夏から秋にかけて吸血昆虫の活動期と一致しますので、本病の予防には4~6月にかけてワクチン注射を行うことが大切です。
●アイノウイルス感染病
アイノウイルスが妊娠牛に感染することによって、異常産を起こす病気です。異常産は流早産であったり、生まれた子牛が関節や脊髄の湾曲、水頭無脳症を示す等アカバネ病と非常によく似た症状を示します。
アカバネ病との違いは、本病では小脳の形成不全が見られると言われています。最近では平成7~8年に九州を中心に四国、中国、近畿で発生が見られました。この病気もアカバネ病やチュウザン病と同様に夏場に吸血昆虫により媒介されますので、予防のためには4~6月にかけてワクチン注射を行うことが大切です。

▲後弓反張、眼球振盪及び前肢の伸張などの神経症状を示す子牛
ワクチネーションプログラム
※ 蚊の発生する6月までに予防接種を完了する。
●3mlずつを4週間隔で2回注射。次年からは年1回追加注射。

アカバネ病・チュウザン病・アイノウイルス感染症・ピートンウイルス感染症(異常産4種)混合【不】 ※
5種(IBR・BVD・PI・RS・AD)混合【生】
※伝染性鼻気管炎・ウイルス性下痢-粘膜病・パラインフルエンザの混合ワクチンです。
病気の概要
●牛ウイルス性下痢-粘膜病(BVD)
BVD・MDウイルスによて起こる病気で、主な臨床症状から、粘膜病型、下痢型、発熱型及び胎子感染症型の四つに分けられていますが、わが国においては粘膜病型と下痢型が多くみられます。しかし最近、胎子感染型もしばしばみられるようになりました。
粘膜病型は、初期感冒様症状(発熱、咳等)で、次いで鼻鏡部の小潰瘍、帯黄色の水様下痢等がみられます。下痢型は、血便を含む下痢、発熱、食欲不振等の症状がみられます。胎子感染型では、感染時の胎齢によって胎子の死亡、ミイラ化、流産、先天異常、持続感染牛等さまざまな被害をこうむります。
●牛のパラインフルエンザ(PI)
パラインフルエンザ3型ウイルスによって起こる病気で、呼吸器障害(肺炎等)が主な症状ですが、その他、腸炎、流産あるいは乳房炎等の原因のひとつではないかと疑われており、また牛の輸送熱の原因ともされています。本病は、わが国では、ほぼ全国的な規模で発生しているといわれており、集団飼養経営での被害は極めて大きくなっています。

▲後弓反張、眼球振盪及び前肢の伸張などの神経症状を示す子牛

▲起立不能に陥るとともに盲目となった胎子感染型の新生子牛
ワクチネーションプログラム
※ 種付け前4週以内及び妊娠牛への注射は避ける。
●2mlずつを1ヶ月間隔で2回注射。
